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青葉益輝と勝新太郎



此の7月にグラフィックデザイナー青葉益輝さんが亡くなった、食道癌だった。
其の青葉のお別れ会が16日に代官山であった、100人以上の友人が集っていた。
彼とは随分前になるがフジTVの番組ポスターの制作で何度か仕事をした、座頭市の撮影では京都の撮影所に2人で出向き撮った。
座頭市のメイクで市の立ち回りを独りで何度か演じてもらったが、実物を目の当たりにすると当たり前とは云え存在感に充ち満ち迫力といったらなかった。
黙って撮り続けても良かったが、満更知らない仲でもないから、少々イタズラ心が湧いて撮りながら声を掛け続けた、其れも女を撮る時の様に・・いい、とってもいい、いいよ、サイコウ、スゴいよ、カッコウいい、とばかりに歯の浮くような噓を並び立てる。
で、暫く撮っていたが、勝新、演じながらクックッと笑い出した、そうなるともうこっちのもので撮影は一気に進んだ。終わって勝新が・うどん食べに行こうと言い、後で落ち合う事になった。
別れ際に勝新・俺そう言えば今日誕生日なんだよな・云うともなく呟いた。
青葉が・オイ加納誕生日って何か買ってかないと・と言ってウィスキーの良いのをうどん屋に持って行った。
で、うどん屋で誕生日お目出度うとウィスキーを出すと、勝新、破顔一笑大笑いして・ウソだよ・と。
まんまと騙された訳で誕生日でも何でもなかったのだ、勝新太郎と云う役者はカメラの前だけじゃなく日々に於いても意識せずに極自然に演技を重ね人を煙に撒いて楽しんでいた人で、まあ二度と出ない役者であり人物だった。
グラフィックデザイナー青葉益輝といっても業界以外では知る人も少ないかと思うが、エコとか反戦意識に富んだ名作ポスターが数々ある中々良い仕事をした人で色んな賞を取ったし、何よりもグラフィックデザインが好きで其れに纏わる人達と仕事で関係するのが此れ又大好きで、ニコニコしながら話す様を思い出す。
一緒にいると良い感じで包まれている気配がして良かった、自然体に出て来る青葉の人物そのものが其所に有った。
写真は高校からの同級生、写真家・長浜治・さんが会場で撮ってくれたものです。

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