四谷シモン・伊藤隆道
17日に銀座キヤノンギャラリーでの個展《カオ》が終わった、2年余PCソフトと格闘した素材をキヤノンでキャンバスにインクジェットプリントして更にアクリル絵具で此の夏加筆した作品で、全て私の撮った写真を使ったモノだが、結果表現された世界は写真なのか絵画なのか定かでない、
しかし予めジャンルアイを持って作品を見ると云うのは、もはや是だけ時代がデジタル化してくると意味を持たなくなって来ていて、あくまでも作品それぞれは作家が存在した時代の全てと関係している訳だから、悩み苦しみ楽しみ生み出された作品は其の全てを綯い交ぜたプロセスを表したもので、アートが論理でくくれる訳も無く見る人の直感を始め感性でしか結局のところ受け取れないと云う世界の摩訶不思議を思わされる。
写真向かって左の人は・伊藤隆道・さんといって動く彫刻を作る人として知られた人で、確か箱根の彫刻の森美術館にも展示作品がある筈だ、今月の31日迄・@btfギャラリー・で16人の合同展・Silencer・展をやっているが一人4mの壁面に作品を展示している、私も《カオ》展の作品系列のものを3点出しているが、伊藤さんも出展している、40年前Silencer展開催時に私の写真を2m×4m位だったかな大伸ばしして其れに無数のクロームメッキした螺旋を夫々モーターで回転させ点在させたコラボ作品を作ったのを覚えている。
年月去り、時の移ろいにインテリアの倉俣史朗さんグラフイックの青葉益輝さんが亡くなったのは遺憾なことだが皆確かに歳は経ているがアート系に関わっている人と云うのは何処か夫々の個性のせいか禿げたり皺寄ったりしてるが若く生気がある、皆100才位迄はやれよ!
写真右の人は人形師・四谷シモン・さんで知る人も多いが彼が20代の頃、唐十郎が主催する状況劇場の面子で新宿花園神社での紅テントによる公演に出ていた。寺山修司は天井桟敷とアングラ演劇が燃えていた時代の役者の一人だった。
シモンの人形師としての歴史は結構なものだが私が日常的に知っていたのは状況劇場の頃に新宿2丁目のバー・Nadja・でよく会った、ことさら話し込む訳ではないが、風のような奴で飄々とした風情を覚えている、Nadjaには土方 巽や唐十郎に寺山修司といった面々が時にカウンターに姿があった。