
名古屋から軽井沢経由で東京へトンボ帰り。いよいよ銀座BLDギャラリーに於いて、師匠・故杵島隆さんとのコラボ展が始まった。
これは、私の26歳の時のデビュー作、NYイーストヴィレッジで、30代の草間弥生さんが催してくれたパフォーマンスを始め、いろいろな性のパターンを撮った、結果的にそれは人種差別や性差別へのアプローチでもあった、43年前、1日にして私を有名たらしめた、「FUCK」展である。当時の展覧会は、コピー紙によるモノクローム表現であったが、本来はインフラレッドカラーフィルム (NYでベトナム戦争用に作られた) による独特なカラー世界。
オリジナルが展覧会、及び写真集として出るのは初めてのことで、伝説にはあったが、写真集もなかなかの出来で、既に会場で予約販売してます。どうぞ皆さん観に来て下さい。
写真は右から、BLDディレクター長澤さん、写真家沢渡朔さん、なかにし礼さん、そして私。
写真家の割りに個展とか写真集が極端に少ない私にして、この暮れは個展が2つも重なり少々エネルギーを必要とした。
その一つが昨日名古屋、名鉄百貨店でオープンした、タイトルは《片目のツァラトゥストラ》、言うまでもなく哲人ニーチェが・ツァラトゥストラはかく語った・で表わした、難解でやや感覚的な世界を日本の仏教具体世界に素材をとり、又科学の象徴としてNASAの天体素材を元に、デジタル処理をした映像をキヤノンの協力によりキャンバスプリントし尚かつアクリル絵の具で加筆したものを展示している、サイズもF120号(1303×1940mm)からと大きなものから6段階あって結構な規模の個展になっている。
この個展のもう一つの大きな目的に東日本大震災えの応援が有って、些々やかなれど同時代者としての責任となれば、との考えです。
・神野重行・名鉄百貨店社長 自らオープンにおいで頂き感謝致します。
個展の内容と協力、協賛頂いた各位様を列記した会場の・ごあいさつ・文を下記に記します。
写真は、神野重行社長と会場入口で。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ごあいさつ ーーーーーーーーーーーーーーーーー
3・11東日本大震災に因り被災された全ての方々および関係者に心より弔慰を表すものです。
被災地気仙沼の中学生が嗚咽しながら(天を怨まず、運命に耐え・・・)と答辞を読み上げるのを涙せずには見られませんでした。
自然の持つ力は未だ人智遠く及ばずと云うことを痛切に思い知らされ、況んや福島第一原子力発電所崩壊と云う被害現実が露に成れば成るほど、空恐ろしい事をやっていたんだと、文明と云う名のもと人間がやっている事毎は、果たして文明と云う言葉で括れるのかと。
日々生きてる上で、此れで良しとしてしてきた概念、価値観、倫理観、普遍性、等々が根底から引っくり返された思いです。
あらゆる人間基準をいちど考え直さないといけないかもしれません。
果たして[神は・・人々を幸せにするのか・・]
果たして[科学は・・人々を幸せにするのか・・]
被災にあたり嘗て哲人ニーチェが「神は死んだ」と言ったのが交錯して、想いが巡り写真と絵画のコラボレーション・チャレンジが出来ないかと、新潟県魚沼の西福寺を撮影し、NASAの天空写真を素材に、デジタル処理を施した写真をキャンバスプリントにし、筆を加えた作品です。
東日本大震災で被災された母子家庭に、家具を含む全ての作品を販売し売上金全てを義援金とします。
今開催に付いて・名鉄百貨店・キヤノンマーケティングジャパン株式会社・西福寺・飛騨産業・日進木工・様に多大なる協力を頂き感謝申し上げます。
また、協賛頂いた・セガサミーホールディングス株式会社・日本カルミック株式会社・
株式会社マルハン・ピーアークホールディングス株式会社・東和フードサービス株式会社・様に感謝申し上げます。
皆様、被災し困難な日々を送る人々に想いを寄せられ御協力を御願いするものです。
加納典明

イヤ大変だ。12月7日の名古屋・名鉄百貨店・の個展「片目のツァラトゥストラ」と、9日からの銀座BLDギャラリーの「SCANDAL extra」の準備で連日深夜迄ペインティング作業が続いている。色々なクリエイティブに長年関わっているが、自身の写真に加筆する作業は当たり前とは云えシャッターを切るのとは訳が違い決断力がいる。
ま、しかし其所は天性のくそ度胸で突破して・・F120という大きなにサイズにキヤノンがプリントしてくれたキャンバスフォトに主にアクリル絵の具で加筆している訳だが、結構面白くなっている。
筆を入れた作品は、1プリントにつき数点のみの限定作品で、既に何点か販売した。前述したが、これまでのキャリアを超えた領域に踏込んだ作品なわけで、購入された方の評価に後押しされ、今後はHPのフォトギャラリーで販売することにした。
素材は同じ写真でも、加筆することで夫々は一点モノとなる。
BLDで、写真展初日に合わせて出す予定の写真集[FUCK]もいよいよ最終段階に入ったようだ。
この写真集は私を世に出した写真で1969年にNYで草間弥生さんのパフォーマンス等々を撮ったもので、此れは貴重な写真で写真集[FUCK]は希少本になること間違い無しで、BLDギャラリーは勿論、大手書店の写真集アート書籍売り場で手に入る筈だ。

何時だったかな、箱根の芦ノ湖スカイラインをGT-Rでチョット其の気になって走っていた、タイトなコーナーの続くスカイラインのブラインドコーナーの先から、独特の少しくぐもった低いバリトンの張りのある音が、真っ白な富士山が見え隠れする絶景と場違いな感じで響き、その音はアッと云う間に傲然と辺りを睥睨しながら姿を現した、特徴ある顔いっぱつで、そうかマセラティかと気持ちに納得させる間もなくグランツリスモは擦れ違いフェラーリでもなくアストンでもなくランボでもない堪えなる音色の弾丸を聴くものに打ち込み、いいようの無いざわめきを残しすっ飛んで行った、私は自分が訳も無く揺すられているのを覚え些々やかな美味なる混乱を享受していた。
横浜みなとみらいにあるマセラティのディーラーBlue Tridentが秋深い箱根で試乗会を催し、其の懇親会に呼ばれて車好きの其れも只の車好きとは一味も二味も違う・超・が付く人達とレーサーの壷林貴也さんに佐藤久美さんが加わり、長きに渡り車大好きで散々浪費して来た私の、BBC TV番組・TOP GEARなんかにゃ負けない毒舌と本質をワインのヘルプを借りつつ此処ぞとばかりに開陳し楽しい時間であった、本当に車好き、バイク好き同士が集うと話しが尽きない、端から見れば実に他愛ない会話でしかないが此ればっかりは、其の中に住んだ人間にしか解らない領域なのだ。
写真は左にAOIコーポレーション代表・山本章博さんに佐藤久美さんと人間の本当の歳に入って来た私。

暮れ12月7日から⇒13日、名古屋・名鉄百貨店・で開催する個展・片目のツァラゥストラ・に展示するアート家具を飛騨高山の家具メーカー2社にお願いして、今開催の主旨である東日本大震災により被災された母子家庭に対し応援する訳だが、抑は自民党衆院議員で高山が選挙区の・金子一義・さんに尽力戴いて、先の飛騨産業社さんと日進木工社さんを紹介戴き、2社さん業務多忙な中、今回のドネーションに参加して頂いている。
両社には夫々新潟魚沼の・西福寺・と・NASA・の素材を元にデジタル.クリエイティブをしたものをキャノンの協力に寄りキャンバスプリントフォトとし、其れを家具にコラボレーションした作品を制作出展するのだが、私も建築やインテリア等々には関わって来ていて素人と云う訳ではないがオリジナルの家具製作にに関わるのは初めてで、飛騨産業さん、そして写真に写る日進木工さんの開発部部長.矢島浩さん始め職人さん達には色々と無理難題を持ち掛け本当に申し訳ない、しかし出来上がった家具は世に一点しかない逸品もので、好き嫌いはともかく個人的には楽しみで仕方が無い。

12月7日からの名古屋・名鉄百貨店での個展・片目のツァラトゥストラ・の為に岐阜県高山市の飛騨産業様に、ダイニングテーブルと椅子の制作を協力して頂いていて、其の最後の打ち合わせに行って来た。
皆さん忙しいのに通常の仕事外になる、一品制作に時間と労力を割いて頂き本当に感謝に堪えない。
偏に東日本大震災で被災した母子家庭えの応援と云う考えに賛同いただき文字道り、ビジネスに利にならない制作に協力して頂いている。
私の写真をキャンバスにプリントしたものをテーブルにウイズするのだが、簡単な事では無い訳で、技術部の藤井知久さんと通常しないような無理を聞いて貰い、何とかやりますとなり有り難い事頻りで有った。
写真は、藤井さんとチョット太めの私。

名古屋生まれの私の父は青年期は時代背景も有ったと思えるが、一端の左翼活動家だったとのことで、其所からドロップアウトして名古屋に移り市井の民として生きたのだが、叩き込んだ左翼思想は彼の考えの根幹として終世変わらなかった。
当時の社会党の国会議員赤松勇さんを何かと応援していた記憶がある、其の子息赤松広隆さんとは何かの縁で何となく親子2代の付き合いで、今回も呼びかけ人の末席を勤めさせてもらった。
東京と1年おきのパーティがANAクラウンプラザホテルで開催され、会場は立錐の余地もない程の盛況であった。

品川のキャノンホールのCANON GALLERY Sで横木さんの写真展を見て来た、
横木さんは雑誌、広告、ファッション、ドキュメンタリー、NUDE、CM等写真の多方面で活躍するバリバリでTV朝日(世界の街道をゆく)でムービーとスチール両方を撮るため世界を回っている。
暮れの12月7日から13日に名古屋・名鉄百貨店で個展をするのだがキャノンに協力を仰ぎ大伸しのキャンバスプリントを展示するため、横木さんが上記の個展で矢張りキャンバスプリントをされているので参考にと行った、わざわざ横木さん忙しいのに会場に来てくれて色々話しを聞かせてくれてあり難かった。
会場に置いてあった彼の写真集を始め数々の著作の中に文庫本[横木安良夫流スナップショット]エイ出版、が写真家ならではの諸々写真に関した彼の考え撮り方があって面白かったな、写真に興味のある人は読まれたらと思う。
何時か横木安良夫×加納典明コラボレーション写真展をやりましょう、と話しが弾んだ。

此の7月にグラフィックデザイナー青葉益輝さんが亡くなった、食道癌だった。
其の青葉のお別れ会が16日に代官山であった、100人以上の友人が集っていた。
彼とは随分前になるがフジTVの番組ポスターの制作で何度か仕事をした、座頭市の撮影では京都の撮影所に2人で出向き撮った。
座頭市のメイクで市の立ち回りを独りで何度か演じてもらったが、実物を目の当たりにすると当たり前とは云え存在感に充ち満ち迫力といったらなかった。
黙って撮り続けても良かったが、満更知らない仲でもないから、少々イタズラ心が湧いて撮りながら声を掛け続けた、其れも女を撮る時の様に・・いい、とってもいい、いいよ、サイコウ、スゴいよ、カッコウいい、とばかりに歯の浮くような噓を並び立てる。
で、暫く撮っていたが、勝新、演じながらクックッと笑い出した、そうなるともうこっちのもので撮影は一気に進んだ。終わって勝新が・うどん食べに行こうと言い、後で落ち合う事になった。
別れ際に勝新・俺そう言えば今日誕生日なんだよな・云うともなく呟いた。
青葉が・オイ加納誕生日って何か買ってかないと・と言ってウィスキーの良いのをうどん屋に持って行った。
で、うどん屋で誕生日お目出度うとウィスキーを出すと、勝新、破顔一笑大笑いして・ウソだよ・と。
まんまと騙された訳で誕生日でも何でもなかったのだ、勝新太郎と云う役者はカメラの前だけじゃなく日々に於いても意識せずに極自然に演技を重ね人を煙に撒いて楽しんでいた人で、まあ二度と出ない役者であり人物だった。
グラフィックデザイナー青葉益輝といっても業界以外では知る人も少ないかと思うが、エコとか反戦意識に富んだ名作ポスターが数々ある中々良い仕事をした人で色んな賞を取ったし、何よりもグラフィックデザインが好きで其れに纏わる人達と仕事で関係するのが此れ又大好きで、ニコニコしながら話す様を思い出す。
一緒にいると良い感じで包まれている気配がして良かった、自然体に出て来る青葉の人物そのものが其所に有った。
写真は高校からの同級生、写真家・長浜治・さんが会場で撮ってくれたものです。

暮れに師匠故杵島隆さんとのコラボレーション展のスケジュールが決まった。
会期・12月9日〜28日 場所・銀座BLD.GALLERY http://www.bld-gallery.jp
銀座2丁目のZALAの8階に広くはないが白く綺麗なギャラリーで、杵島さんは多分桜田門外ヌードに数多いヌードを出されると思うが、私は何度も書いているが1969年NYで撮った《FUCK》を出す、加えて写真集も出す。
此の写真集は出世作FUCKが初めて纏まった形で出る訳だが、部数も少ない筈だから将来的に希小本になるのは間違いがなくNYにも送る積もりである。
其の写真集の打ち合わせにBLDに行って来た、ギャラリー・ディレクター長澤さんと写真集をデザインしてくれる中島宏さんと濃い打ち合わせになった。
写真向かって左が長澤氏、右側が中島浩さんです、12月9日にオープニングが有るだろうから名古屋・名鉄百貨店で同月7日から、加納典明個展[片目のツァラトゥストラ]で名古屋に行ったきりだから9日は東京にとんぼ返りになるのかな。